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裂肛(切れ痔)

目次

裂肛(切れ痔)とは

痔核(いぼ痔)とはのイメージ画像

切れ痔は、肛門の容量を超えるような硬い便を、無理やり出しときなどに肛門の上皮(肛門の皮膚)が裂けてしまった状態で、痛みや出血をおこします。
特に若い女性に多い傾向がありますが、どの年齢層にもおこります。
自然に治ることもありますが、慢性化すると傷が深くなり、潰瘍や、肛門ポリープ、肛門狭窄などを合併することもあります。

排便コントロールを含めた生活習慣の改善が基本で、軟膏や内服薬を併用して治療を行います。それらの治療でどうしても改善しない場合には手術も検討されます。

裂肛(切れ痔)の原因

切れ痔の原因は単に「便が硬いから」だけではなく、以下のような複数な要因が複雑に絡み合っています。症状の悪化や再発を防ぐためにも、日々の生活習慣を見直すことが重要です。

硬い便・便秘

硬い便・便秘のイメージ画像

硬い便や便秘は、裂肛(切れ痔)の最も頻度が高い原因です。
便秘が続くと便が大腸の中で水分を吸収されて硬くなり、その硬い便により肛門を通る際に物理的な圧力がかかります。特に、強くいきむことにより、肛門が無理に押し広げられることで、肛門上皮が裂けてしまいます。
初期は硬い便の時などに切れるだけですが、このような排便習慣が繰り返されると、慢性化し常に切れ痔の状態が継続します。

下痢・頻回の排便

意外に思うかもしれませんが、水っぽい便も裂肛の原因になります。頻繁な排便や下痢によって、肛⾨上⽪が繰り返し刺激を受けると、上皮のバリア機能が低下して、裂けやすくなります。

肛門括約筋の過剰な緊張

肛門の筋肉(内括約筋)が常に緊張していると、肛門の血流が悪くなり、肛門上皮が裂けやすくなる上に、傷の治りが悪くなります。緊張しやすい体質の方やストレスの多い生活を送っている方、寒さで体がこわばっている時などに肛門括約筋が緊張しやすくなります。

冷え・血行不良

特に女性に多い要因です。冷えによって骨盤周囲の血流が低下すると、肛門上皮の修復力が下がり、裂けた傷が治りにくくなります。冬場に切れ痔が悪化しやすいのはこのためです。

出産・加齢

出産時のいきみによって肛門に大きな負担がかかり、切れ痔を起こすことがあります。また、加齢にともなって肛門上皮が薄くなり、わずかな刺激でも裂けやすくなります。

ストレス・生活習慣

ストレスが自律神経のバランスを崩し、腸の働きに影響を及ぼすことで、便秘や下痢を引き起こしやすくなります。また、生活や仕事が忙しく、トイレを我慢することが習慣になっている方も注意が必要です。トイレを我慢することで、便が直腸に止まる時間が長くなると、ますます便が硬くなってしまいます。

裂肛(切れ痔)の分類

裂肛は、発症時期によって、「急性裂肛」と「慢性裂肛」に分けられます。

急性裂肛

  • 発症から数日〜数週間と短期間
  • 傷は浅く、自然に治ったり、生活習慣の改善や軟膏や内服などの保存的治療で改善することが多いです

慢性裂肛

  • 症状が長期化している状態
  • 傷が深くなり、皮膚の突起物(見張りいぼ)、肛門ポリープ、肛門狭窄などを伴うことがあります
  • 保存的治療で治りにくく、外科治療が必要になる場合があります

裂肛(切れ痔)の症状

裂肛(切れ痔)の症状のイメージ画像

切れ痔の症状は、排便中および排煙後に出現する肛門痛が特徴的で、痛みが排便後に数時間続くこともあります。
出血は少量のことが多く、鮮血(あざやかな赤色の出血)が、トイレットペーパーにつく程度のことが多いです。
切れ痔が慢性化すると、切れ痔の外側に見張りいぼ、内側に肛門ポリープを作り、ますます切れ痔が治りにくくなる悪循環におちいります。

さらに切れ痔を繰り返すことにより、肛⾨が狭くなる「肛⾨狭窄」となることもあり、排便時の痛みが強いため、排便がこわくなり便を我慢してしまい、便秘になってしまう⽅もいます。

裂肛(切れ痔)の検査・診断

切れ痔の診断では、以下の方法が用いられます。

視診

肛門を目で視て診察し、切れている部分や見張りいぼやその他の病変の有無を確認します。

直腸指診

指で肛門の痛みの部分の確認、肛門括約筋の収縮の程度、肛門ポリープの有無、その他腫瘍など病変の有無を確認します。

肛門鏡診察

肛門鏡診察のイメージ画像
肛門鏡診察のイメージ画像

肛門鏡(こうもんきょう)という専門の器具を使って、切れ痔の状況を確認します。痛みが強い場合などは、無理はせず、可能な範囲での診察をいたしますのでご安心ください。

また、難病にも指定されている炎症性腸疾患のクローン病が原因で切れ痔になることや、肛門管がん(肛門部にできる悪性腫瘍)が原因で肛門部の痛みが出ていることもあるため、必要に応じて大腸内視鏡検査を行います。

裂肛(切れ痔)の治療

まず最初に、切れ痔があるからといって、必ずしも手術をする必要はありません。
そして、切れ痔を放置しても癌にはなりません。
手術の決め手になるのは、あなたが、その切れ痔があることによって、困っているかどうかです。

切れ痔の治療は生活習慣の改善や薬による「保存的治療」と、手術による「外科的治療」に分けられます。

保存的治療

食事内容の見直し

食事内容の見直しのイメージ画像

基本的には、便秘や下痢が起きないような食事をすることが大切です。便秘については、肉類の食べ過ぎには注意して、食物繊維を十分にとり、1日1.5〜2リットルの水分をとるように⼼がけましょう。

下痢気味の方は、腸への刺激が強い冷たい飲み物や、アルコール、香辛料などの摂取を控えることが重要です。

排便習慣の見直し

トイレで長時間いきむことは肛門に負担がかかるため、トイレの時間は5分以内にしましょう。

また、便意はあるのにトイレに行くのを我慢することで、直腸内で便が硬くなってしまうため、「トイレに行きたい」と思ったらできるだけ早めにトイレに行くことも大切です。

座浴療法

食座浴療法の見直しのイメージ画像

切れ痔は冷やしていいことはありません。1日1回以上、症状が強い時には1日数回、できる範囲で38℃〜40℃のぬるいお湯につかり肛門部を温めることで、肛門の血流が改善します。
⽇頃はシャワーで済ませてしまう⽅も、切れ痔の時はお⾵呂でお湯につかるようにしてみてください。

薬物療法

痔の治療に用いる軟膏や内服薬を用います。
薬による治療は、症状の改善効果はありますが、切れ痔の予防効果はありませんので、症状が改善したら使用を中止してください。
痛みが強くて生活に支障をきたしている場合は、治療の期間中にロキソニンなどの痛み止めの内服も効果的です。

外科的治療

何度も同じ場所が切れて切れ痔が慢性化すると、常に痛みを伴ったり、肛門が狭くなってしまうこともあります。長年の切れ痔で生活に支障をきたしていて、便通のコントロールや軟膏などの治療ではなかなか症状が良くならない場合には手術も検討されます。

手術には以下の方法があります。

  • 内肛門括約筋側方切開術
  • 裂肛切除術
  • 皮膚弁移動術
  • 用手的拡張術

手術方法の選択は、患者さんの年齢、肛門括約筋の緊張の強さ、生活の質(QOL)などを考慮し、患者さんと相談しながら慎重に決めていきます。
なお、手術の場合は、基本的に腰椎麻酔での手術となるため、本院の西新井大腸肛門科で入院の上、手術を受けていただきます。

裂肛(切れ痔)の予防

切れ痔を予防するためには、「肛門に負担をかけない排便環境」を整えることが最も重要です。
日本の治療ガイドラインでも、「裂肛の発症には便秘や硬い便による肛門上皮の損傷が深く関係していると」されていて、日常生活の工夫が大切です。

まずは、食物繊維を多く含む野菜・果物・海藻類を意識的に取り入れ、水分をしっかり摂ることで便を軟らかく保ちましょう。

また、規則的な排便習慣を身につけることも大切です。「トイレに行きたい」という便意を我慢せず、毎日同じ時間帯にトイレに行く習慣をつけることで、自然な排便リズムが整います。
ただ、「毎日同じ時間帯にトイレに行かないと」と思うと、それもストレスになってしまいます。毎日排便がある人もいれば2日に1回、3日に1回の人もいますので、その人なりのストレスとならない排便リズムを作ることが重要です。
さらに、長時間のいきみやトイレでのスマートフォン操作などの“トイレ長居習慣”を避けることも重要です。
排便時の過度ないきみは肛門に大きな負担をかけるため、切れ痔の悪化だけでなく、いぼ痔の悪化にもつながります。

寒さやストレスも血流低下を招くため、体を温める工夫やリラックス習慣の継続も予防につながります。

これらの生活習慣の改善は、治療中や治療後の切れ痔の再発予防にも効果的です。

草加西口大腸肛門クリニックでの『裂肛(切れ痔)』の診療

草加西口大腸肛門クリニックでの『裂肛(切れ痔)』の診療のイメージ画像

当院には裂肛(切れ痔)の方も多く来院されます。
「排便の後何時間もおしりが痛くて困っています」
「おしりが痛くて出血もしていて心配です」
と日常生活に支障をきたしている方も多くいらっしゃいます。

まずは丁寧な問診で、いつからどのような症状でお困りなのかをおうかがいします。
次に肛門鏡を使って現在の切れ痔の状態を評価します。痛みが強い場合は、できるだけ負担が少なくなるよう配慮して診察を進めますのでご安心ください。
必要に応じて肛門エコーなどの追加の検査を行います。
診察の結果をもとに、現在の状態をわかりやすく説明し、治療の選択肢をご提案いたします。

また、中にはクローン病や肛門管がんなどの病気が原因で、肛門部の裂肛や潰瘍を作っている場合もありますので、必要に応じで大腸内視鏡検査のご案内もいたします。

これまで説明してきたように、「切れ痔=手術が必要」ではありません。症状が軽い場合には、生活習慣の見直しや薬(軟膏・内服)を中心とした保存的治療で十分に症状の改善が期待できます。

しかし、長く続いている慢性的な裂肛の場合は、傷が深くなっていたり、皮膚の変化(見張りいぼやポリープ)や肛門の狭窄を伴っていることもあり、保存的治療だけでは良くならないケースもあります。
そうした場合は、手術についても選択肢としてご案内いたします。
手術を希望される方には、本院である「西新井大腸肛門科」での入院手術をご案内いたします。

「病院に行くとすぐに手術をすすめられるのでは…」
と不安を感じている方もご安心ください。当院ではいきなり手術を勧めることはありません。つらい症状を少しでも早くやわらげるために、安心してご相談にいらしてください。

裂肛(切れ痔)に関するQ&A

切れ痔は自然に治ることはありますか?
軽い急性裂肛であれば自然治癒することもありますが、慢性化すると治りにくくなりますので、1~2週間で治らない場合は病院で受診してください。
排便時の激痛がつらいです。どうすればいいですか?
まずは、便を軟らかくする生活習慣の改善が重要です。水分が少ない方は1日1.5〜2リットルの水分をとってみてください。それでも症状が続く場合は病院で受診してください。
排便の後におしりが痛くて仕事がつらいのですが、痛み止めを飲んでもいいですか?
排便後に痛みが強い場合は、お手持ちの痛み止め(ロキソニンやイブプロフェン、カロナールなど)を内服してかまいません。痛み止めは根本的な治療にはなりませんので、仕事に影響が出るくらいの症状の場合は、早めに病院で受診してください。
切れ痔は市販の軟膏で治りますか?
軽い切れ痔であれば、市販薬で対応可能なことが多いです。しかし、慢性化している場合や、繰り返している場合には病院で受診してください。
切れ痔は放っておくとどうなりますか?
切れ痔は放置すると慢性化し、潰瘍や見張りいぼ、肛門ポリープを作り、切れ痔を繰り返し治りにくい環境となってしまいます。また、肛門狭窄につながる可能性がありますので、早めの治療が大切です。
切れ痔はうつりますか?
いいえ。裂肛は感染症ではないため、人から人にうつることはありません。
妊娠中でも切れ痔の治療はできますか?
生活習慣の改善のアドバイスや、妊娠中でも使用できる軟膏や内服薬があります。
見張りいぼは取ったほうがよいですか?
見張りいぼは切れ痔が原因でできたものなので、見張りいぼだけ切除をしても、いずれ再発します。生活に支障がなければ経過観察が望ましいですが、困っている場合は、切れ痔の手術が必要となります。
他の病気が隠れていることもありますか?
慢性裂肛の陰に、炎症性腸疾患のクローン病や肛門管がんが隠れている場合もあるため注意が必要です。痛みが長期間続いている場合は病院で受診してください。
おしりが痛いときは何科を受診すればいいですか?
大腸肛門科、肛門科、がベストです。近隣にない場合は、消化器外科や外科の病院を受診してください。
048-951-0421
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診療内容
肛門科、大腸カメラ、胃カメラ、消化器科、大腸がん検診
院長
金澤 周
(医学博士/日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医/日本大腸肛門病学会 大腸肛門病専門医・指導医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医)
住所
〒340-0034
埼玉県草加市氷川町2144-11
アークプラザⅡ 3F
最寄駅
東武スカイツリーライン「草加駅」より
徒歩3分
休診日
木曜日・日曜日・祝日・振替休日
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  • 受付時間以外はエレベーターは動きませんのでご了承ください。
  • 当院は『完全予約制』です。来院の際にはWEBから『診察予約』をおとりください。
  • 内視鏡検査の予約の際にはお時間がかかります。院内滞在時間短縮のため、事前に『大腸内視鏡検査前の下剤の飲み方』の動画をご覧になってからご来院ください。
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お会計は現金または以下クレジットカードによる決済が可能です。

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