慢性胃炎
目次
慢性胃炎とは?

慢性胃炎とは、胃の粘膜が長期間にわたって炎症を起こしている状態を指します。
急性胃炎と異なり、慢性胃炎はゆっくりと進行し、症状が目立たないこともありますが、放置すると胃の粘膜が萎縮し萎縮性胃炎という状態になり、胃がんのリスクが高まる可能性があります。
その原因の多くはHelicobacter pylori(ピロリ菌)の感染であり、日本人に非常に多くみられる疾患です。
診断には、胃内視鏡検査(胃カメラ)による観察と組織の採取、生検による評価が基本です。
慢性胃炎の原因
ピロリ菌(H. pylori)感染

ピロリ菌は幼少期に家族内感染することが多く、一度感染すると長期間にわたって胃粘膜に慢性的な炎症を引き起こします。
感染が長引くと、萎縮性胃炎や腸上皮化生といった前がん病変へと進行する可能性があり、最終的には胃がんのリスクも高まることが知られています。
日本ではかつて高い感染率がありましたが、衛生環境の改善により、若年層では感染率が大きく低下しています。
それでも中高年層では依然として主な原因となっています。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用
ロキソプロフェンやアスピリン、イブプロフェンなどの鎮痛薬を長期間使用すると、胃粘膜の防御機能が低下し、慢性的な炎症を引き起こすことがあります。
特に高齢者や併用薬が多い場合はリスクが高まります。
自己免疫性胃炎
自己免疫性胃炎は、体の免疫が誤って胃の壁細胞を攻撃することで起こる慢性炎症です。
進行すると胃酸分泌が低下し、ビタミンB12の吸収障害をきたして悪性貧血を引き起こすことがあります。
生活習慣の影響
高塩分の食事、喫煙、過剰な飲酒、ストレスの多い生活などは、胃粘膜のバリア機能を低下させて炎症が起こりやすくなります。
これらの生活習慣が重なることで、慢性胃炎の発症・悪化リスクが高くなります。
慢性胃炎の症状
慢性胃炎は長期間にわたって胃粘膜に炎症が続く病気ですが、多くの場合、明確な自覚症状がないまま進行します。
そのため、健康診断や内視鏡検査で偶然発見されることも珍しくありません。
しかし、炎症が続くことで胃の機能が低下し、日常生活の中でさまざまな不調があらわれることがあります。
とくに食事のタイミングや内容により、症状が悪化することもあります。
以下のような症状がみられる場合は、慢性胃炎の可能性があるため注意が必要です。
- 胃の不快感・鈍痛
- 胸やけ
- げっぷ
- 食欲不振
- 胃もたれ
- 吐き気・嘔吐
- 貧血
- 倦怠感
慢性胃炎の検査・診断
慢性胃炎は自覚症状だけでは診断が難しいため、客観的な検査によって胃の状態や原因を確認することが重要です。
特に、胃内視鏡検査で胃粘膜の変化をみたり、ピロリ菌の検査を行いピロリ菌感染の有無を正確に把握することで、適切な治療方針が立てられます。
以下のような検査が行われます。
胃内視鏡検査(胃カメラ)

慢性胃炎の診断には、胃カメラが最も有効です。
胃粘膜の発赤、萎縮、腸上皮化生などの特徴的な所見が観察されます。
ピロリ菌感染の状態や胃がんリスクの評価にも有効な検査です。
ピロリ菌検査
以下の方法でピロリ菌感染の有無を調べます。
どの方法を用いるかは、それぞれの方の状況により医師が判断します。
尿素呼気試験
薬剤服用後に呼気を集めて、H. pyloriが作る酵素の働きを利用して感染の有無を調べます。
体への負担は少なく、精度の高い検査です。
便中抗原検査
便に含まれるピロリ菌の抗原を検出する検査です。
簡便で感度・特異度ともに高く、除菌判定にも使われます。
血清抗体検査
血液中のピロリ菌に対する抗体の有無を調べます。
現在だけでなく過去の感染歴も反映しますが、除菌後の判定には不向きです。
迅速ウレアーゼ試験
胃内視鏡検査の際に採取した胃粘膜組織を使い、ピロリ菌が産生する酵素の反応を確認します。
血清ペプシノゲン検査
胃粘膜の萎縮の進行度を評価する血液検査です。
ピロリ菌抗体検査と併用することで、胃がんのリスクを層別化でき、健康診断や胃がん検診でも広く用いられています。
慢性胃炎の治療
ピロリ菌除菌療法

ピロリ菌感染が確認された場合、除菌療法が行われます。
ピロリ菌除菌療法は、強い胃薬のプロトンポンプ阻害薬(PPI)と2種類の抗生物質(アモキシシリン、クラリスロマイシン)を1日2回で7日間連続服用する治療です。
除菌成功率は約80〜90%で、1次除菌がうまくいかなかった場合は、薬剤を変更した2次除菌が保険診療で実施可能です。
胃酸分泌抑制薬の使用
胃酸の分泌を抑える薬(PPIやH2ブロッカー)を使うことで、胃粘膜の炎症をやわらげて症状を改善します。
生活習慣の改善
慢性胃炎の改善には生活習慣の見直しが大切です。
禁煙・節酒に加え、塩分や刺激物を控えたバランスの良い食事を心がけましょう。
十分な睡眠や軽い運動など、ストレスをためない生活も胃粘膜の回復に役立ちます。
草加西口大腸肛門クリニックでの【慢性胃炎】の診療
当院での慢性胃炎の診療では、それぞれの方の症状や背景に合わせた丁寧な対応を心がけています。
まずは問診で、胃の不快感や痛みの有無、食生活・喫煙・飲酒・服薬歴など生活習慣について詳しくおうかがいします。
そのうえで必要があれば、胃内視鏡検査(胃カメラ)を行い、胃粘膜の炎症や萎縮、腸上皮化生の有無などを直接観察し評価をします。
胃内視鏡の検査の際に、ピロリ菌感染が疑われる場合、組織を採取して迅速ウレアーゼ試験などの検査を行い、感染の有無を確認します。
ピロリ菌の感染が判明した場合は、除菌療法をご案内し、除菌後も経過観察を行います。
さらに、症状がある方には、胃酸を抑える薬や粘膜を保護する薬を症状に応じて処方いたします。
また、ピロリ菌感染歴や萎縮性胃炎が認められる方には、将来的な胃がんリスクも考慮して、定期的な胃内視鏡検査をご提案しています。
ご自身に症状がなくても、家族にピロリ菌陽性者がいる方や、健診で「胃炎を指摘された」、「ピロリ菌検査を勧められた」といった方は、ぜひ一度当院にご相談ください。