大腸憩室出血
目次
大腸憩室出血とは?
大腸憩室とは、大腸の壁の一部が外に向かって小さな袋のように飛び出したものです。
多くは加齢にともなってできてきます。
この袋の近くを通っている血管が切れて出血するのが「大腸憩室出血」です。
突然、たくさんの血が便に混ざって出ることがあり、ほとんどの場合、お腹の痛みなどの前ぶれはありません。
最近では、日本でも高齢化や食生活の変化により、大腸憩室をもつ人が増えており、それにともなって憩室からの出血も多くなっています。出血の多くは自然に止まりますが、再び出血する可能性が20〜40%と高く、出血が多いと輸血や手術が必要になることもあります。
そのため、正しく診断して適切な治療を受けることが大切です。
大腸憩室出血の原因
大腸憩室出血は、腸の壁にできた小さな袋(憩室)の中を通る血管が傷ついて出血することで起こります。
年齢とともに腸の壁が弱くなったり、便秘などで腸に強い力がかかること(腸管内圧の上昇)が原因になります。
次のようなことがリスクとして知られています。
- 高齢(特に60歳以上)
- 男性
- 高血圧や動脈硬化がある
- 痛み止め(NSAIDs)や血液をサラサラにする薬を使っている
- 便秘しやすい
- 食物繊維の少ない食事
- 肥満や内臓脂肪が多い
大腸憩室出血の症状
突然の血便
大腸憩室出血では、ある日突然、トイレで大量の血が混じった便が出て驚くことがあります。
色は明るい赤や暗い赤で、出血の量は多いことが多いですが、お腹の痛みなどの前ぶれがなく、出血して初めて気づくことが特徴です。
貧血の症状
出血が多いと、体の中の血が不足して「貧血」の症状が出てきます。
具体的には、立ちくらみ、動悸、息切れ、全身のだるさ、顔色が青白くなるなどが見られます。
高齢の方では、軽い出血でも症状が出やすくなります。
ショック状態
出血が大量に続くと、血圧が急に下がって、意識がぼんやりしたり、冷や汗や手足の冷え、呼びかけに反応しにくくなる「ショック状態」になることがあります。
こうした場合はすぐに救急対応が必要です。
排便回数の増加
憩室出血が起こると、一時的に便意を感じやすくなり、トイレに行く回数が増えることがあります。
出血により腸が刺激されることが原因と考えられています。
下痢と間違えやすいため注意が必要です。
大腸憩室症の検査・診断
造影CT検査
造影CT検査は、大腸憩室出血の診断で最初に行われることが多く、特に「動脈相」と呼ばれるタイミングで撮影することで、出血している場所を見つけやすくなります。
出血していれば、腸の中に造影剤がもれている像が確認でき、出血している場所の特定につながります。
大腸内視鏡検査
造影CTで出血の場所がある程度特定できた場合には、大腸内視鏡を行い、出血している場所を直接観察します。
タイミングが合えばその場で止血処置もできるため、非常に有効な検査です。
ただし、出血が止まっていると出血部位の特定が難しいこともあります。
血管造影
出血の場所が内視鏡では特定できない場合や、内視鏡での止血が難しい再出血のケースでは、カテーテルを使った血管造影検査が行われます。
出血の原因となっている血管を探し、見つかった場合は「血管塞栓術」という方法で血管をふさいで止血します。
血液検査
血便のある方に対しては、貧血の有無や体の状態を知るために血液検査も行います。
特に、赤血球やヘモグロビンの値を確認することで、出血の程度や全身への影響を評価することができます。
治療方針の判断にも役立つ基本的な検査です。
大腸憩室出血の治療
保存的治療
出血の約70〜90%は自然に止まるため、まずは食事を止めて腸を休め、点滴で水分や栄養を補いながら経過を見ます。
血圧や貧血のチェックを行い、状態が安定していれば入院せず外来での対応も可能です。
内視鏡的止血術
大腸内視鏡検査を行い、出血する憩室がわかった場合は、直接止血処置を行います。
出血している部位をクリップで挟む、バンドで縛る、出血点の周囲にエピネフリンという薬剤を注射するなどの方法があり、出血の状況に応じて適切な方法が選ばれます。
血管塞栓術
内視鏡で止血できない場合には、カテーテルを使って出血している血管を特定し、薬剤やコイルでふさぐ治療を行います。
体への負担が少なく、再出血時にも有効です。
外科手術
内視鏡やカテーテルで出血が止まらない場合、ごくまれに手術が必要になることがあります。
手術では出血の原因となっている腸の一部を切除します。
ただし、手術は体に負担がかかるため、高齢の方や持病がある方では、全身状態と手術のリスクなどから総合的に判断されます。
大腸憩室出血の予防
大腸憩室出血を予防するためには、日頃の生活習慣を見直すことがとても大切です。
まず、便秘を防ぐことが重要で、腸に強い圧力がかからないようにするために、野菜や果物、豆類など食物繊維の多い食事を心がけましょう。
また、水分をしっかりとることも腸の動きを良くするために効果的です。
次に、薬の見直しも大切です。とくに痛み止め(NSAIDs)や血液をサラサラにする薬(抗血小板薬・抗凝固薬)は、出血のリスクを高めることがあるため、必要に応じて医師と相談して使用を調整することがすすめられます。
さらに、軽い運動や肥満の改善も腸への負担を減らし、出血の予防につながります。
そして、自分に大腸憩室があるかどうかを知っておくために、定期的な大腸内視鏡検査を受けることも大切です。
出血が起こる前に、リスクを把握し、早めに対策をとることができます。
草加西口大腸肛門クリニックでの【大腸憩室出血】の診療
当院には、「突然の血便があった」「トイレの水が真っ赤になって驚いた」といった訴えで来院される方が多くいらっしゃいます。
こうした症状の原因のひとつとして、大腸憩室出血が考えられます。
まずは、問診や診察を通じて出血の量やタイミング、全身の状態を確認し、必要に応じて血液検査で貧血の有無を調べます。
出血がすでに止まっていると判断される場合には、腸を安静に保ちながら外来での経過観察が可能です。
一方で、出血が続いている可能性がある場合や、貧血症状がみられる場合には、内視鏡的止血やカテーテルによる治療が必要となることがあります。
その際は、安全に検査・治療が行える入院可能な医療機関をご紹介いたします。
また、夜間や休日に限らず、日中でも出血の量が多く、ふらつき・めまい・冷や汗・動悸などの症状がある場合には、すぐに救急病院を受診することが大切です。
大腸憩室出血は、初回の出血が自然に止まったとしても再発リスクが高いため、生活習慣の見直しや、定期的な大腸内視鏡検査によるチェックも重要です。
定期的な内視鏡検査を受けることで、将来の再出血リスクの低減や、大腸がんなどの早期発見・予防にもつながります。
血便に気づいた際には、ご自身で判断せず、まずは専門医の診察を受けることが安心につながります。
気になる症状がある方は、お早めに当院へご相談ください。