感染性腸炎
目次
- 感染性腸炎
- 感染性腸炎とは?
- ノロウイルスとは?
- ノロウイルスの感染経路
- ノロウイルスの症状
- ノロウイルスの検査・診断
- ノロウイルスの治療
- ノロウイルスの予防
- ノロウイルスに関するQ&A
- サルモネラ腸炎とは?
- サルモネラの感染経路
- サルモネラ腸炎の症状
- サルモネラ腸炎の検査・診断
- サルモネラ腸炎の治療
- サルモネラ腸炎の予防
- サルモネラ腸炎に関するQ&A
- カンピロバクター腸炎とは?
- カンピロバクターの感染経路
- カンピロバクター腸炎の症状
- カンピロバクター腸炎の検査・診断
- カンピロバクター腸炎の治療
- カンピロバクター腸炎の予防
- カンピロバクター腸炎に関するQ&A
- 腸管出血性大腸菌感染症(EHEC)とは?
- 腸管出血性大腸菌の感染経路
- 腸管出血性大腸菌感染症の症状
- 腸管出血性大腸菌感染症の検査・診断
- 腸管出血性大腸菌感染症の治療
- 腸管出血性大腸菌感染症の予防
- 腸管出血性大腸菌感染症に関するQ&A
- 草加西口大腸肛門クリニックでの【感染性腸炎】の診療
感染性腸炎とは?
感染性腸炎とは、細菌・ウイルス・寄生虫などの病原体が腸に感染して起こる病気です。
主な症状は下痢、腹痛、発熱、嘔吐などで、多くの場合は軽症で自然に回復しますが、脱水や重症化によって入院が必要になることもあります。
感染の原因となる病原体はさまざまですが、日本では細菌やウイルスによる腸炎が中心です。
とくに高齢者や乳幼児、免疫が低下している方では重症化しやすいため、早期の対処が重要です。
感染性腸炎において大切なのは、「かからない」「広げない」ための予防策です。
手洗い、食品の衛生管理、調理時の加熱などの基本的な衛生習慣が、感染を防ぐ鍵となります。
ここでは、代表的な感染性腸炎として以下の4つを取り上げ、それぞれの特徴と対処法について解説します。
- ノロウイルス感染症
- サルモネラ腸炎
- カンピロバクター腸炎
- 腸管出血性大腸菌(O157など)
ノロウイルスとは?
ノロウイルスは、急性胃腸炎(感染性腸炎)を引き起こすウイルスの一種で、特に冬季(12月~1月)に流行のピークを迎えます。
感染力が非常に強く、わずか数十個のウイルスでも発症するのが特徴で、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層に影響を与えます。
とくに、保育園・学校・高齢者施設など集団生活を送る場所では、接触や飛沫を介して感染が広がりやすく、注意が必要です。
ノロウイルスの感染経路
ノロウイルスは経口感染するウイルスで、以下のような経路で体内に侵入します。
食品からの感染
特に十分に加熱されていないカキなどの二枚貝はウイルスを保有しやすく、生食によって感染する危険があります。
ヒトからヒトへの感染
感染者の手指や吐物・便に触れた手を介して口にウイルスが入ることで感染します。
家庭内や施設内で広がりやすいです。
環境を介した感染
ドアノブや手すり、調理器具などウイルスが付着した場所に触れ、その手で口や食べ物に触れることで感染します。
飛沫・エアロゾルによる感染
嘔吐時にウイルスが空気中に飛散し、それを吸い込むことで感染することがあります。
吐物処理時には特に注意が必要です。
ノロウイルスの症状
感染後、24~48時間の潜伏期間を経て発症します。
主な症状は以下の通りです。
- 吐き気・嘔吐
- 水のような下痢
- 腹痛
- 軽度の発熱
通常は1〜3日で自然に回復しますが、高齢者や乳幼児では脱水や体力低下によって重症化することがあるため、こまめな水分補給と注意深い観察が重要です。
ノロウイルスの検査・診断
ノロウイルス感染の診断は、臨床症状や流行状況をもとに行われることが多く、必ずしも検査が必要とは限りません。
必要に応じて以下のような検査が用いられます。
抗原検査キット(迅速診断)
便に含まれるノロウイルスの抗原を検出する簡易検査です。
迅速に判定できますが、感度はやや低めです。
なお、保険適用でのノロウイルス抗原検査は、以下のようなケースに限定されています。(2023年現在)
- 3歳未満の乳幼児
- 65歳以上の高齢者
- がん患者、臓器移植後、免疫抑制治療中の方
PCR検査
ウイルスの遺伝子(RNA)を検出する高感度な検査法です。
正確性が高く、集団感染時の確定診断に用いられます。
電子顕微鏡検査
便中のウイルス粒子を直接観察する検査法です。
専門機関でのみ実施され、一般的な診療では行われません。
ノロウイルスの治療
ノロウイルスに対する特効薬は存在しません。
治療は対症療法が基本となります。
水分補給
脱水を防ぐため、経口補水液やスポーツドリンクなどを少量ずつこまめに飲み、体内の水分と電解質を補います。
食事
胃腸に負担をかけないよう、お粥やうどんなど消化に良いものを無理のない範囲で摂取しましょう。
安静
体力を回復させるために、無理をせずしっかりと休むことが重要です。
ノロウイルス感染後は、下痢・嘔吐・発熱などの症状が完全におさまり、食事や水分がしっかり摂れるようになってから登校・出勤を再開しましょう。
感染拡大を防ぐためにも、回復後1~2日は自宅で安静にすることが望まれます。
点滴治療
嘔吐や下痢で水分摂取が難しい場合や、脱水が進んでいる場合は、医療機関での点滴による補液が必要です。
ノロウイルスの予防
手洗いの徹底
ノロウイルスは手指を介して体内に入りやすいため、トイレの後や調理・食事の前には必ず石けんと流水で丁寧に手洗いを行いましょう。
手洗い時間は少なくとも30秒以上が目安です。
アルコール消毒ではノロウイルスはあまり死にません。
そのため、石けんと水を使ってしっかり手を洗うことが一番大切です。
手のひらだけでなく、指先や爪の間、手首までていねいに洗いましょう。
食品の十分な加熱
ノロウイルスは熱に弱い性質があるため、特にカキなどの二枚貝を食べる場合は中心温度85〜90℃以上で1分以上しっかりと加熱することが大切です。
生食を避け、調理時には火が均等に通るよう注意しましょう。
外食時にも加熱済みかを確認することが重要です。
吐物や便の適切な処理
感染者の吐物や便には大量のウイルスが含まれており、処理の際にウイルスが飛散することで周囲に感染が広がります。
マスク・手袋・使い捨てエプロンを使用し、使い捨てのペーパータオル等で静かに拭き取ったあと、塩素系消毒剤でしっかり除菌しましょう。
環境の消毒
ノロウイルスは環境中でも長時間生存し、ドアノブやトイレのレバー、調理器具などから手を介して感染することがあります。
市販の家庭用塩素系漂白剤を0.1%濃度に薄めて拭き掃除することで効果的にウイルスを除去できます。
こまめな清掃が再感染の防止につながります。
ノロウイルスに関するQ&A
サルモネラ腸炎とは?
サルモネラ腸炎は、サルモネラ属菌による細菌性腸炎の一種で、主に汚染された食品や水を摂取することで感染します。
特に、生卵や加熱不十分な鶏肉などが原因となることが多く、食品由来の食中毒として知られています。
日本では、毎年多くのサルモネラ感染症が報告されており、特に夏季に発生しやすい傾向があります。
健康な成人では軽症で済むことが多いですが、乳幼児、高齢者、免疫が低下している方では重症化しやすく注意が必要です。
サルモネラの感染経路
サルモネラ菌は、動物や人の腸の中に存在する細菌で、汚染された食品や動物との接触などを通じて体内に入り、腸炎を引き起こします。
感染経路には以下のようなものがあります。
食品からの感染(食品媒介感染)
加熱が不十分な鶏肉や生卵、未殺菌の乳製品、またそれらを使った加工食品などが主な原因となります。
まな板や包丁などの調理器具を介した二次汚染にも注意が必要です。
動物との接触による感染
ミドリガメやヘビ、イグアナなどの爬虫類や両生類はサルモネラ菌を保菌していることが多く、触れた後に手洗いが不十分な場合、手指を通じて口から感染することがあります。
小さなお子さんや高齢者は特に注意が必要です。
ヒトからヒトへの感染(接触感染)
感染者の便に含まれるサルモネラ菌が、手指を介して別の人に広がることがあります。
特にトイレ後やオムツ交換の後の手洗いが不十分な場合に起こりやすく、家庭内や施設内での二次感染に注意が必要です。
サルモネラ腸炎の症状
サルモネラ腸炎は、感染後12〜72時間の潜伏期間を経て発症します。
主な症状は急性胃腸炎で、38〜40℃程度の発熱、水様性の下痢や時に血便、腹痛、吐き気、嘔吐、全身のだるさ(倦怠感)などがみられます。
下痢は1日に数回から十数回に及ぶこともあり、脱水に注意が必要です。
多くの人は数日から1週間ほどで自然に回復しますが、抵抗力が弱い高齢者や乳幼児、または免疫機能が低下している人では重症化することがあります。
まれに菌が血液中に入り、敗血症や骨髄炎、髄膜炎、関節炎などの合併症を引き起こすことがあります。
特に症状が強い場合や、ぐったりしている、血便が続くといった場合には早めの医療機関受診が勧められます。
サルモネラ腸炎の検査・診断
サルモネラ腸炎は、まず発熱や下痢、腹痛などの症状と、最近の食事内容(生卵や加熱不十分な鶏肉の摂取)、ペット(特にカメや爬虫類)との接触歴などをもとに診察します。
確定診断には「便培養」と呼ばれる検査で便の中にいるサルモネラ菌を調べます。
菌が見つかった場合には、その種類(血清型)や、どの薬が効くか(薬剤感受性)も調べます。
発熱が高く、ぐったりしているような重症のケースでは、血液中に菌が入っていないかを調べる「血液培養」を行うこともあります。
また、同じ時期に同様の症状を示す人が複数いる場合は、食中毒の可能性があるため、保健所への連絡が必要になります。
サルモネラ腸炎の治療
サルモネラ腸炎の多くは軽症で、自然に回復するため、治療の基本は水分補給や安静、発熱や腹痛への対症療法です。
脱水を防ぐために、経口補水液やスープなどでこまめに水分をとることが大切です。
食事は無理にとらず、胃腸にやさしいおかゆやうどんなどを少量ずつ摂るようにし、腸を安静に保ちます。
症状が強い場合や、乳幼児、高齢者、免疫力の低下した方では、血液中に菌が広がるリスクがあるため、抗菌薬による治療が行われることがあります。
なお、自己判断で市販の下痢止め薬を使うと、菌の排出をさまたげて回復を遅らせることがあるため注意が必要です。
サルモネラ腸炎の予防
日常のちょっとした意識で、サルモネラ感染のリスクは大きく減らせます。
安心・安全な食生活を心がけましょう。
以下のポイントを意識して、感染を予防しましょう。
食品の加熱をしっかりと
サルモネラ菌は熱に弱いため、鶏肉や卵は十分に加熱することが大切です。
鶏肉は中心部まで75℃以上で1分以上の加熱が推奨されています。
卵を生で食べる場合は、必ず「生食用」「賞味期限内」の表示がある卵を選びましょう。
調理器具や手を清潔に保つ
生肉や卵を触った調理器具(まな板、包丁など)は、すぐに洗剤で洗浄・消毒し、他の食材と分けて使用しましょう。
調理中や食事前後には石けんでの手洗いを徹底しましょう。
爬虫類との接触に注意
ミドリガメやイグアナなどの爬虫類はサルモネラ菌を保菌していることが多く、触れた後は必ず手を洗うことが大切です。
小さな子どもや高齢者、免疫力が弱い方は接触を避けるのが望ましいです。
旅行・外食時の注意
旅行中や外食では、衛生状態の良い店を選び、生水や加熱が不十分な食品は避けるようにしましょう。
特に発展途上国では、生野菜や果物、氷にも注意が必要です。
サルモネラ腸炎に関するQ&A
カンピロバクター腸炎とは?
カンピロバクター腸炎は、Campylobacter jejuniやCampylobacter coliなどの細菌が原因となる、細菌性の急性腸炎です。
感染にはわずか500個程度の菌量でも発症する可能性があり、主に鶏肉などの食品を介して経口感染します。
日本では、カンピロバクターは最も多く報告されている細菌性食中毒の原因菌であり、年間200〜300件前後の発生が確認されています。
例年、7〜9月の夏季に多くみられますが、最近では冬季の発生も増加傾向にあります。
カンピロバクターの感染経路
カンピロバクターは、主に飲食物を介した経口感染で広がります。
感染経路としては以下のようなものがあります。
加熱不十分な鶏肉の摂取
特に「鶏刺し」や「生レバー」が原因となることが多く、市販の鶏肉の30〜60%がカンピロバクターに汚染されていると報告されています。
「新鮮だから大丈夫」といった誤解が広がっていますが、生食は危険です。
汚染された水や食材の摂取
井戸水や簡易水道を通じた感染例も報告されており、調理や手洗いの水にも注意が必要です。
ペットとの接触
犬や猫、特に下痢症状のある動物からの感染例もあります。
ヒトからヒトへの感染
まれですが便を介した手指経由の感染(糞口感染)は可能性があります。
特に小児や介護の現場では注意が必要です。
カンピロバクター腸炎の症状
感染後、2〜7日の潜伏期間を経て、以下のような症状が現れます。
- 38〜40℃の発熱(下痢より先に出ることも多い)
- 水様性の下痢(1日数回〜10回以上)
- 腹痛
- 血便(約20〜30%)
- 頭痛、関節痛、全身のだるさ
右下腹部の腹痛の場合は、虫垂炎との鑑別が難しい場合もあります。
多くの場合、数日〜1週間以内に自然軽快しますが、まれにギラン・バレー症候群や反応性関節炎などの合併症が報告されています。
カンピロバクター腸炎の検査・診断
カンピロバクター腸炎が疑われる場合、まず発熱や下痢、腹痛などの症状に加え、最近の食事内容(特に鶏肉の摂取)、旅行歴、ペットとの接触などについて詳しく問診をします。
その後、便を採取して菌の有無を調べる「便培養検査」が行われ、確定診断につながります。
また、血液検査で炎症の程度や脱水の有無を確認します。
特に右下腹部の痛みが強いときには、虫垂炎との鑑別が必要なため、腹部CT検査を行うこともあります。
これらの検査を組み合わせて、正確な診断が行われます。
カンピロバクター腸炎の治療
多くの場合、カンピロバクター腸炎は特別な治療をしなくても自然に回復します。
治療の中心は水分補給で、下痢や嘔吐によって失われた水分と塩分を、経口補水液やスープなどで補います。
食事は無理せず、胃腸にやさしいものを少しずつ摂りましょう。
ただし、高熱が続く場合や血便が出る、体力の落ちている方(高齢者や免疫力が低い方)では、抗菌薬が必要になることもあります。
カンピロバクター腸炎の予防
カンピロバクター腸炎は、ほんの少しの菌でも感染することがあり、特に鶏肉を介した食中毒が多く報告されています。
発症を防ぐには、日常生活の中でのちょっとした注意がとても大切です。
以下のポイントを意識して、家庭でもしっかりと予防を心がけましょう。
鶏肉の中心までしっかり加熱
鶏肉は中心部まで75℃以上で1分以上加熱しましょう。
「新鮮だから大丈夫」と思わず、生焼けを防ぐことがカンピロバクター感染の予防につながります。
調理器具は肉用と野菜用で分ける
鶏肉を切った包丁やまな板は、そのまま他の食材に使わず、肉用と野菜用で分けて使いましょう。
使用後は、洗剤と熱湯でよく洗ったうえで、塩素系漂白剤(台所用漂白剤など)を薄めて浸け置きすることも、細菌の除去に効果的です。
カンピロバクターは塩素に弱いため、調理器具やふきんなどを定期的に消毒することで感染リスクを大きく減らすことができます。
消毒後は、十分に水ですすいでから使用しましょう。
手洗いをしっかり行う
調理前後、トイレの後、ペットの世話の後は石けんで丁寧に手を洗いましょう。
手洗いは、食中毒を防ぐ基本で最も効果的な予防策です。
生水や井戸水は避ける
井戸水や生の湧き水は消毒が不十分なことがあり、病原菌が含まれている可能性があります。
必ず加熱した水や安全な水道水を使用しましょう。
アウトドア調理は加熱と清潔に注意
キャンプやBBQでは加熱不足や器具の共用に注意が必要です。
十分に火を通し、器具の衛生管理や手洗いを徹底しましょう。
カンピロバクター腸炎に関するQ&A
腸管出血性大腸菌感染症(EHEC)とは?
腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli:EHEC)は、ベロ毒素(志賀毒素)を産生する病原性大腸菌で、激しい腹痛や血便などを引き起こします。
特に有名なのがO157で、他にO26やO111などの血清型も存在します。
少量の菌数(10~100個程度)で感染が成立し、重症化すると溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などを合併することがあります。
日本では感染症法上「三類感染症」に指定されており、全数届出が義務付けられています。
腸管出血性大腸菌の感染経路
EHECの主な感染経路は経口感染です。
感染源として、以下のようなものが挙げられます。
加熱不十分な牛肉・生肉の摂取
EHECは牛の腸内に多く存在し、食肉処理や調理の際に菌が肉に付着することがあります。
ハンバーグやステーキ、牛レバーなどの中心部が十分に加熱されていないまま摂取した場合に、菌が体内に入り感染する可能性があります。
生野菜の摂取
畑で使われた動物の堆肥や、洗浄時に使用された汚染水などを介して、レタスやサラダなどの生野菜にEHECが付着することがあります。
加熱処理されずにそのまま食べられることが多いため、感染経路として重要視されています。
井戸水・簡易水道の飲用
井戸水や簡易水道など、消毒が十分に行われていない水道水には、動物の糞便が混入していることがあり、EHECが含まれている場合があります。
特に農村地域やアウトドア環境での利用時に感染例が報告されています。
人から人への接触感染
EHECは感染者の便に含まれており、排便後の手洗いが不十分な場合などに、手指や物品を介して他人にうつることがあります。
家庭内や保育園、高齢者施設などでの糞口感染が多く報告されており、注意が必要です。
動物との接触
牧場やふれあい動物園などで牛、羊、ヤギなどに接した際、動物の毛や皮膚、排泄物などを通じて手や衣服に菌が付着し、それが口に入ることで感染が起こります。
動物は無症状でもEHECを保菌していることがあります。
河川・湖・プールなどの水遊び
EHECは水の中でも一定期間生存できるため、家畜の糞便が混入した川や湖などで遊んでいると、誤って水を飲み込むことで感染することがあります。
特に小児は感染リスクが高く、水遊び中の感染例が報告されています。
腸管出血性大腸菌感染症の症状
EHECに感染しても、全く症状が出ない「無症状キャリア」や、軽い下痢だけで済む軽症例もありますが、多くの場合は2〜8日(平均3〜5日)の潜伏期間を経て発症します。
発症初期は水様性の下痢が出現し、その後、激しい腹痛を伴いながら血便に移行します。
血便は、最初は便に少量の血液が混じる程度ですが、次第に血の量が増え、便の大半が血液のような状態になることもあります。
腹痛はかなり強く、のたうちまわるほどの激痛を訴える例もあります。
発熱は多くの場合軽度またはないことが特徴です。
しかし、重症化するとHUS(溶血性尿毒症症候群)を引き起こすことがあり、腎機能障害、溶血性貧血、血小板減少、けいれん、意識障害などを伴います。
HUSの発症は感染から約1週間前後で起こりやすく、特に5歳以下の小児や高齢者、免疫力が低下している人では重篤化のリスクが高いため、早期の対応が求められます。
腸管出血性大腸菌感染症の検査・診断
EHEC感染が疑われた場合、まず便を採取して便培養検査を行い、菌の種類を特定します。
次に、ベロ毒素の有無を確認する検査(免疫学的検査やPCR法)で病原性を判定します。
重症化が疑われる場合には血液検査で腎機能や貧血の有無など、HUSの兆候を調べます。
さらに、感染者の周囲の人に対しても検便によるスクリーニングが行われることがあります。
腸管出血性大腸菌感染症の治療
O157などの腸管出血性大腸菌に感染した場合、治療の基本は「対症療法」です。
治療の基本は、症状に応じた対症療法です。
下痢や嘔吐によって失われた水分や塩分をしっかり補うことが最も大切で、症状が強い場合は点滴や入院が必要になることもあります。
整腸剤を使うことはありますが、下痢止めは毒素の排出を妨げるため使ってはいけません。
また、抗菌薬はHUSという重い合併症を引き起こす恐れがあるため、使うかどうかは医師の判断にゆだねられます。
腸管出血性大腸菌感染症の予防
腸管出血性大腸菌(EHEC)は、非常に少ない菌量でも感染するため、日常生活の中での予防がとても重要です。
特に食事の取り扱いや衛生管理に注意することで、感染のリスクを大きく減らすことができます。
以下のポイントを意識して、感染を防ぎましょう。
牛肉はしっかり加熱
O157などの菌は牛の腸内に多く、加工の際に肉の表面に付着することがあります。
ステーキなどのかたまり肉は、表面をしっかり加熱すればレアでも比較的安全とされていますが、ハンバーグなどのひき肉料理では、中心部まで菌が入り込んでいるため、75℃以上で1分以上の加熱が必要です。
特に子どもや高齢者、免疫が弱い方は、レア肉は避けたほうが安心です。
生野菜は流水で洗浄・消毒
レタスやサラダなどの生野菜は、食べる前に流水でよく洗い、気になる場合は食品用の消毒剤を使うと安心です。
手洗いの徹底
調理の前後やトイレの後は、石けんを使って丁寧に手を洗い、菌を手指から口に入れないようにすることが大切です。
家庭内の接触感染対策
感染者がいる場合は、トイレやドアノブの消毒を行い、タオルや食器の共用を避けて家族内の感染拡大を防ぎます。
動物との接触後の手洗い
動物とふれあった後は、無症状でも菌を保菌している可能性があるため、必ず手を洗ってから飲食などをしましょう。
集団施設での管理の徹底
保育園や高齢者施設では、便検査や環境消毒、職員・利用者の体調管理を徹底し、集団感染を未然に防ぎます。
腸管出血性大腸菌感染症に関するQ&A
草加西口大腸肛門クリニックでの【感染性腸炎】の診療
クリニックには下痢や腹痛で来院される方も多くいらっしゃいます。
感染性腸炎は軽度であれば、水分補給と腸の安静を保つことにより自然に改善していきますので、水分摂取や食事の指導、整腸剤の処方などを行います。
当院では症状や経過をふまえて、便の培養検査は可能ですが、結果が出るまでに数日を要します。
また、ノロウイルスの検査、腹部エコーやCTは行っておりませんので、必要に応じて対処可能な医療機関をご紹介させていただきます。
腹痛や下痢が続く場合は、感染性腸炎以外に潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の可能性もあるため、必要に応じて大腸内視鏡検査も行っていきます。
「お腹を壊して何日も治らない…」
「市販薬でなかなか良くならない…」
「大腸の病気が心配…」
そう感じたときは、どうぞ当院屁ご相談ください。
丁寧な診察と適切な対応で、早期の回復をサポートいたします。
- 診療内容
- 肛門科、大腸カメラ、胃カメラ、消化器科、大腸がん検診
- 院長
- 金澤 周
(医学博士/日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医/日本大腸肛門病学会 大腸肛門病専門医・指導医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医) - 住所
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