肛門周囲湿疹
目次
肛門周囲湿疹とは

様々な原因で皮膚のバリア機能が低下し、おしりの周囲の皮膚があれることによって、かゆみや痛みがでます。
一般的には、おしりの拭きすぎや、乾燥などでかゆみがあり、かいてしまったことで、物理的な小さな傷ができ、さらにかゆいためにまたかいてしまうという繰り返しにより、皮膚の状態が悪化し、かゆみや痛みも強くなっていきます。
物理的な刺激が原因のことが多いですが、カンジダをはじめとした菌が原因の場合もあります。
肛門というデリケートな部位に発生するため、なかなか人には相談しづらいですが、適切な診断と治療を受けることで改善が期待できます。
おしりのかゆみが強いと、夜間の不眠や、日中の集中力の低下にもつながり、日常生活に支障をきたしますので、早めの治療が大切です。
肛門周囲湿疹の原因
肛門周囲湿疹の原因は様々です。代表的なものには以下のようなものがあります。
物理的刺激や摩擦
排便の際にトイレットペーパーでのおしりの拭きすぎにより、肛門周囲に細かい傷ができてしまいます。
ウォシュレットの不適切な使用

ウォシュレットは本来、排便の後に肛門部の汚れを落とすために使います。
しかし、中にはウォシュレットを直腸の中に直接水が入るくらいの強い勢いで使い、その刺激で排便をうながしている人がいます。
これにより、直腸の中に入った水が後で少しずつ肛門から出てきて、肛門周囲の皮膚荒れの原因となることがあります。
お風呂でのおしりの洗いすぎ
お風呂で、おしりを洗う際に石鹸をつけて必要以上に洗うことで、肛門周囲に傷がつきます。
特に体を洗うタオルなどでおしりを洗うと、おしりの皮膚は体の皮膚より繊細なため、細かい傷がつきやすく、痒みの原因となります。
便の刺激
便はもともと皮膚にとって刺激性のある物質(胆汁酸や酵素、アンモニアなど)を含んでいるため、下痢や便漏れが続くと、肛門のまわりの皮膚が荒れやすくなります。
接触性皮膚炎
トイレットペーパーや石鹸、ボディソープなどに含まれる成分や下着の素材によりアレルギー反応を起こしてかゆみが出ることがあります。
まれに、痔の治療のために処方した軟膏でもアレルギー性の皮膚炎を起こす方がいらっしゃいます。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が低下しているため、外からの刺激や摩擦、便の成分、汗、湿度などの影響を受けやすくなっています。
肛門周囲は常に摩擦や蒸れ、排便による刺激が加わる環境であるため、炎症が起きやすく、治りにくい環境にあります。
感染症(特にカンジダ)
肛門周囲の感染症でも皮膚荒れがおこります。
頻度が高いのは、カンジダという真菌感染によるものです。
カンジダは皮膚や粘膜にいる常在菌ですが、免疫力が低下しているときなどに増殖して炎症を起こすことがあります。
女性の場合は、膣や外陰部にカンジダ症を発症することもあり、これが肛門周囲まで広がっている場合もあります。
痔
肛門から脱出するようないぼ痔があり、いぼ痔から粘液が分泌され、それが肛門周囲の皮膚に付着してかゆみの原因になることがあります。
また、痔瘻があり皮膚の穴から常に膿が出続けていることで、膿の刺激により皮膚荒れをおこしてかゆみが出ていることもあります。
肛門周囲湿疹の症状

おしりの穴や、その周囲の皮膚にかゆみや痛みが出ます。
かゆみが強い場合と痛みが強い場合とがあります。
主な症状は以下のとおりです。
- 肛門のかゆみ(強いかゆみが特徴)
- ヒリヒリ感や痛み
- 赤み
- じゅくじゅくしてしめった状態
- 皮膚のカサつきや皮膚が硬くなりでこぼこする
- 色素沈着
かゆみが強く、無意識にかいてしまうことで悪化するケースも多くみられます。
症状が慢性化すると、皮膚が分厚くなり、より治りにくくなってしまいます。
肛門周囲湿疹の検査・診断
問診と視診、直腸診と肛門鏡(こうもんきょう)による検査、必要に応じてカンジダの培養検査などをして診断をします。
問診
症状の経過、生活習慣、排便状況などについてうかがいます。
視診
肛門周囲の皮膚あれの程度や、病変の広がり、痔瘻の有無などを確認します。
直腸診
指で、肛門部に痔核や痔瘻などの肛門病変の有無、その他の異常がないかを確認します。
肛門鏡診察
肛門鏡という器械を使い、肛門の縁に細かい傷がついていないかの確認や、痔核や痔瘻など肛門病変の有無を確認します。
カンジダ培養検査
カンジダ感染が考えられる場合に、綿棒で皮膚をこすり専用の培地につけ、培養検査を行います。

肛門周囲湿疹の治療
治療の基本は、「皮膚荒れの原因となる原因物質の除去」と、「生活習慣の改善」が一番重要で、さらに炎症を抑えるために、軟膏や皮膚の保護剤などを用います。
物理的な傷が原因の場合は、ステロイド入りの軟膏で軽快することが多いのですが、カンジダが原因の場合は、抗菌薬入りの軟膏での治療が必要となります。
また、かゆみが強い場合には抗アレルギー薬を併用します。
肛門周囲の皮膚あれも初期であれば短期間で改善しますが、放置すると皮膚の変化が強くなり、治るまでに時間がかかりますので、早めの治療開始が重要です。
「おしりがかゆくてつらい…」とお悩みの方は、早めにクリニックを受診してみてください。
草加西口大腸肛門クリニックでの『肛門周囲湿疹』の診療

「おしりがかゆくて夜眠れない」「座っているとヒリヒリしてつらい」といった、肛門周囲のかゆみや皮膚のトラブルでご来院される方は多くいらっしゃいます。
実際に、かゆみが気になって仕事や勉強に集中できないというお悩みをお持ちの方も珍しくありません。
当院ではまず、いつからどのような症状があるかを丁寧にお伺いし、肛門やその周囲の皮膚の状態を確認します。
その上で、肛門鏡を使った診察や、カンジダなどの真菌感染が疑われる場合には培養検査も行います。
肛門周囲の皮膚荒れの原因には、便の刺激やウォシュレットの使いすぎ、拭きすぎ、下痢や痔の影響など様々なものがあります。
中にはアレルギーや感染が関係していることもありますので、原因を見極めたうえで、最適な治療法をご提案します。
治療の中心は、かゆみや炎症を抑える軟膏の使用と、生活習慣の見直しです。
症状の程度によっては、抗アレルギー薬の内服を併用することもあります。
また、当院での治療でも改善が難しい場合や、全身の皮膚病の一部として症状が出ている可能性がある場合には、皮膚科の専門医をご紹介しています。
おしりというデリケートな部位のトラブルは、人に相談しづらく、つい我慢してしまう方も多いですが、悪化すると治療に時間がかかることもあります。
当院では「おしりのかゆみは我慢せず相談していいことなんだ」と思っていただけるような診療を心がけています。
少しでも気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。