お腹が張る
目次
お腹が張るとは?
「お腹が張る」とは、お腹に膨満感や圧迫感を感じる症状のことを指します。
お腹がパンパンに張ったような不快感や痛みを伴うこともあり、一時的なものから慢性的なものまでさまざまです。
原因は、食べ過ぎやガスのたまりなど軽度なものから、消化器疾患や婦人科疾患など重篤な病気が隠れていることもあります。
適切な対応のためには、原因を見極めることが重要です。
お腹が張る原因となる疾患
お腹の張りを引き起こす原因として、以下のような疾患が考えられます。
便秘
腸内に長時間便がとどまると水分が過剰に吸収され、便が硬くなり、排出が困難になります。
その結果、腸内にガスが溜まりやすくなり、お腹の張りや膨満感を引き起こします。
水分不足、食物繊維の不足、運動不足、ストレス、ホルモンバランスの変化が影響します。
慢性的な便秘は腸内環境の悪化を招き、腸内細菌のバランスが崩れることでさらなる膨満感や不快感につながります。
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群(IBS)は、腸の運動機能に異常をきたし、腹痛や下痢、便秘を繰り返す疾患です。
ストレスや生活習慣の乱れをきっかけに腸が過敏になり、便秘や下痢、腹痛などを繰り返します。
腸の動きが不規則になることで、ガスが溜まりやすくなり、張りや不快感の原因となります。
腸閉塞(イレウス)
腸閉塞(イレウス)は、腸の一部が物理的に詰まることで、内容物やガスが通過できなくなる状態です。
原因として、腸管の癒着やねじれ、炎症や腫瘍による腸の狭窄(せまくなること)などが考えられます。
腸閉塞が発生すると、腸内にガスや消化液が異常に溜まり、強いお腹の張りや痛みを伴い、嘔吐や便秘が続くことも特徴です。
放置すると腸が壊死する危険があるため、緊急の対処が必要となります。
消化不良
消化不良は、胃腸が食物を十分に消化・吸収できない状態を指します。
脂っこい食事や暴飲暴食をすると、胃腸の消化機能が追いつかず、消化酵素の働きが追いつかず、消化が遅れることでガスが発生しやすくなります。
また、胃酸の分泌低下や腸の運動低下も関係し、食後に強い膨満感が生じることがあります。
慢性的な消化不良は、胃腸の病気のサインである可能性があるため、注意が必要です。
胃腸炎
ウイルスや細菌が胃腸に感染し、炎症を引き起こすと、胃腸炎になります。
主な原因として、ノロウイルスやロタウイルス、サルモネラ菌などが挙げられます。
感染すると腸の動きが乱れ、消化が正常に行われなくなり、ガスが発生しやすくなります。
また、下痢や嘔吐、発熱を伴うことが多く、脱水症状にも注意が必要です。
症状が重い場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
婦人科系の疾患
卵巣嚢腫や子宮筋腫など、女性に特有の疾患でもお腹が張ることがあります。
卵巣嚢腫は、卵巣に液体が溜まり、腫瘍のように大きくなる疾患です。
子宮筋腫は、子宮の筋肉層にできる良性の腫瘤で、ホルモンの影響を受けて大きくなります。
これらの疾患が進行すると、腸を圧迫することでガスの排出が妨げられ、お腹の張りを感じることがあります。
月経異常や下腹部の違和感がある場合は、婦人科受診を検討しましょう。
腹水
腹水とは、腹腔内に異常な量の体液が溜まる状態です。
主な原因として、肝硬変やがんが挙げられます。
肝硬変では、肝臓の機能が低下し、血流やリンパ液の循環が悪化することで、腹水が溜まりやすくなります。
がんの場合は、がん細胞が腹膜に影響を及ぼし、体液が漏れ出すことで腹水が増加します。
腹水によってお腹が大きく膨れ、動きづらくなることもあります。
急激な体重増加やむくみを伴う場合は、早急に医療機関を受診してください。
消化器がん
(OLYMPUS EndoAtlasより引用)
胃がんや大腸がんは、腫瘍の成長によって腸の通過障害やガスの貯留を引き起こし、お腹が張る原因となることがあります。
特に大腸がんが進行すると、腸の通り道がせまくなってしまい、ガスや便がうまく出せなくなるため、お腹の張りが強くなります。
また、血便、体重減少、食欲不振などの症状を伴う場合は、消化器がんの可能性があるため、早めの検査が推奨されます。
大腸がんや胃がんは日頃から定期的な健康診断を受け、早期発見に努めることが重要です。
お腹が張る時にはどうしたらいいの?
お腹が張る症状があるときには、その原因や症状の程度に応じて対応を分けることが大切です。
生活習慣などの見直しで経過観察していい場合
食べ過ぎや早食い、炭酸飲料の摂取、ガスが発生しやすい食品(豆類、キャベツ、玉ねぎなど)を多く摂ったことが原因と考えられる場合には、生活習慣の見直しで改善が期待できます。
また、便秘が原因であれば、水分や食物繊維を意識した食事、適度な運動、ストレス軽減を心がけましょう。
これらの対応で1週間程度様子を見て、症状が軽減する場合には経過観察で問題ありません。
ただし、改善が見られない場合や、症状が悪化するようであれば、早めに医療機関を受診することが重要です。
医療機関を受診した方がいい場合
お腹の張りに加えて、強い腹痛、嘔吐、発熱、血便、急激な体重減少、食欲不振などの症状がある場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。
特に腸閉塞や消化器がん、腹水などの重大な疾患が原因であるケースもあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
また、張りが長期間続いている、繰り返し起こるという場合も、原因を特定するためにしっかりと診察を受けることが重要です。
草加西口大腸肛門クリニックでの『お腹が張るとき』の診療
当院では、「お腹が張って苦しい」「ガスがたまりやすい感じがする」といった症状でご相談に来られる方が多くいらっしゃいます。
お腹の張りは、便秘や消化不良、過敏性腸症候群など、比較的軽い病気が原因のこともありますが、大腸がんや腸閉塞、婦人科系の疾患など、見逃してはいけない重大な病気が背景にある場合もあります。
まずは、問診で症状の経過や便通の状態、食事内容、これまでの病歴などを詳しくお聞きします。
加えて、視診・触診を行い、痛みや腫れの有無、ガスのたまり具合などを確認します。
そのうえで必要な場合には、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)や胃内視鏡検査(胃カメラ)などの内視鏡検査を行い、腸や胃の状態を詳しく調べて原因を特定します。
また、婦人科系の疾患など消化器以外の原因が疑われる場合には、適切な専門の医療機関をご紹介いたします。
「いつものおなかのはりだから大丈夫」と自己判断せず、日頃からおなかのはりが気になる方は、お気軽に当院までご相談ください。