肛門感染症
目次
肛門感染症とは
肛門部の感染症とは、性行為などの接触よって引き起こされる性感染症(STD:sexually transmitted disease)です。
多くの種類がありますが、ここでは日常診療で比較的よく見る、
- 肛門ヘルペス
- 尖圭コンジローマ
について解説をしていきます。
肛門ヘルペス感染症とは?

肛門ヘルペス感染症は、単純ヘルペスウイルス(HSV)によって引き起こされる性感染症(STD)の一つであり、肛門部やその周囲に水疱や潰瘍を形成する疾患です。
特に性行為(アナルセックスやオーラルセックス)によって感染することが多く、HSV-2型が主な原因ですが、HSV-1型による感染も見られます。
肛門ヘルペス感染症の症状

初感染時は、強い痛みを伴う水疱やびらんが肛門周囲に発生し、リンパ節の腫れや発熱を伴うこともあります。
その後、症状は一時的におさまりますが、ウイルスは神経節に潜伏し、ストレスや免疫低下などの要因で再発することがあります。
再発時は、初めて感染したときよりも症状が軽いことが多く、限られた部分に小さな水ぶくれやただれがみられます。
肛門ヘルペスの診断
問診の内容や、肛門診察で、特徴的な水疱が認められれば診断できます。
必要な場合は、水疱内容のPCR検査やウイルス培養検査、血液検査(抗体検査)などを行うこともあります。
肛門ヘルペスの治療
抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル)の内服が基本となります。
重症例では点滴治療が必要になることもあります。
また、症状をやわらげるための鎮痛剤や抗炎症薬が併用されることがあります。
肛門ヘルペスの予防
肛門ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)1型または2型の感染によって起こる性感染症で、肛門やその周囲に水疱や潰瘍をつくります。
症状が強く現れる初感染だけでなく、ウイルスは神経節に潜伏し、疲労やストレス、体調不良などをきっかけに再発を繰り返すこともあります。
ヘルペスウイルスは症状がないときでもウイルスが皮膚や粘膜から排出され、他人に感染することがあり、これを不顕性感染と呼びます。
自覚症状がなくても感染源となり得るため、パートナーへの配慮も重要です。
予防としては、コンドームの使用や不特定多数との性行為を避けること、パートナーとの間で感染歴を共有することが挙げられます。
ただし、コンドームでは覆われない部位(陰部や肛門周囲の皮膚)からも感染するため、100%の予防はできません。
また、感染の疑いがある場合や症状が出た場合は、早めに医療機関を受診し、抗ウイルス薬による治療を受けることが、重症化や再発リスクの軽減につながります。
尖圭コンジローマとは?

尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって生じる性感染症です。
肛門周囲や性器にイボ状の病変が形成され、特にHPV6型と11型が原因となることが多いです。
感染は主に性行為を通じて広がり、粘膜や皮膚の微細な傷口からウイルスが侵入します。
尖圭コンジローマの症状
潜伏期間は3週間から8か月と幅広く、感染後に肛門や性器周囲に小さなイボが出現します。
イボはピンク色や灰色で、カリフラワー状に増殖することがあります。
初期には自覚症状が乏しいことが多いですが、かゆみや不快感を伴うこともあります。
放置すると増殖・拡大し、大きな塊になることもあります。
尖圭コンジローマの治療
治療法には以下の選択肢があります。
- 薬物療法:イミキモドクリーム(ベセルナクリーム)
- 物理療法:液体窒素による凍結療法、レーザー治療
- 外科療法:電気メスや外科的切除(大きな病変に適用)
再発率が高いため、治療後も定期的な経過観察が重要です。
病変が皮膚のみで、少ない場合は、薬物療法を行いますが、病変の数が多い場合や、大きい場合、肛門管(皮膚より奥)に病変がある場合は、外科手術が必要となります。
当院では、薬物療法のみは行えますが、外科手術が必要と判断した場合には本院の西新井大腸肛門科での治療のご案内をさせていただきます。
尖圭コンジローマの予防
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)6型・11型が原因で、性器や肛門まわりにイボ状の病変ができる性感染症です。
予防にはコンドームの使用やパートナーとの感染歴の共有が重要ですが、皮膚の接触でも感染するため完全に防ぐことはできません。
たとえ症状が出ていなくても、皮膚や粘膜にはウイルスが存在し、性行為の際に相手に感染を広げてしまう可能性があり注意が必要です(不顕性感染(ふけんせいかんせん)といいます。)
最も効果的な予防策は、若年層でのHPVワクチンの接種です。
草加西口大腸肛門クリニックでの『肛門感染症』の診療

当院には肛門周囲の感染症で来院される方もいらっしゃいます。
ヘルペスは肛門周囲の痛みや腫れ、尖圭コンジローマは肛門周囲のいぼをきっかけに受診されることが多いです。
どちらとも早期に発見し適切に治療をすることが重要です。
性感染症は、他の人にうつしてしまう可能性があるため、自己判断せず、少しでも気になる症状があればお早めにご相談ください。