直腸脱
目次
直腸脱とは
直腸脱とは、直腸が肛門の外に飛び出してしまう病気で、高齢の女性に多く見られます。
初期では排便時にのみ脱出しますが、進行すると歩行中や入浴時などにも脱出し、手で戻さなければ戻らなくなることもあります。
直腸脱には、直腸の壁全体が脱出する「完全直腸脱」と、粘膜だけが脱出する「不完全直腸脱(直腸粘膜脱)」があります。
直腸脱の原因
主な原因は、以下のように骨盤底の支持組織が弱くなることです。
- 加齢による筋力の低下
- 盤底筋群の弛緩や損傷
- 慢性の便秘や排便時の強いいきみ
- 出産による骨盤底のダメージ
- 肥満
- 骨盤内手術の既往
これらの要因が組み合わさり、直腸を周囲から支える組織が弱くなることで、直腸が支えきれずに脱出します。
直腸脱の症状
直腸脱の主な症状は以下のとおりです。
- 直腸の脱出
- 便もれ
- 排便障害
- 肛門部痛
- 排尿障害
最初は、排便するために強くいきんだときに肛門から脱出して、いきむのをやめると自然に戻りますが、病状が進むと、歩いている時や入浴中などにも脱出するようになり、手で戻さないと戻らなくなり生活の質(QOL:Quality of Life)が低下します。
脱出の程度は数cmから10cm以上となることあり、脱出して戻らないため、クリニックを受診される方もいらっしゃいます。
直腸脱の検査・診断

直腸脱の検査と診断は、問診や視診、直腸診(おしりの診察)によって行われます。
排便時に直腸が脱出する様子を確認するため、トイレで患者にいきんでもらうことがありますが、クリニックのトイレでいきんでも、脱出しない場合があります。
診断で、一番確実なのは、脱出した様子をスマホで写真に撮っていただくことです。
ご自身として、「最もとび出ているな」という状況を正面や横など角度を変えて何枚か写真を撮っていただけるとベストです。
直腸脱の治療

直腸脱は薬では治らないため、根治のためには手術が必要です。
直腸脱は高齢の方が多いため、全身的な病気をお持ちの方も多く、患者さんの全身状態、直腸脱の程度などを考慮して総合的に決定されます。
手術は、腰椎麻酔でできる「経会陰手術」と、全身麻酔が必要な「経腹手術」に分けられます。
経会陰手術
経会陰手術は以下の3種類があります。
- Gant(ガント)三輪手術
- Delorme(デロルメ)手術
- Altemeier(アルテマイヤー)手術
どの手術も腰椎麻酔でできるため、全身麻酔が難しい高齢者などリスクの高い患者さんに適しています。
このため、体への負担は少ないメリット、再発率が高いというデメリットがあります。
経腹手術
- 腹腔鏡下直腸固定術
全身麻酔をかけ、腹腔鏡による手術を行います。肛門から脱出する腸をつり上げて、仙骨前面にメッシュなどで固定する方法です。
再発率が低いため、全身麻酔を受けられる患者さんであれば、腹腔鏡による手術が第一選択となります。
直腸脱の予防
直腸脱の予防には、骨盤底筋を鍛えることと、排便習慣の見直しが重要です。
便秘にならないように水分・食物繊維を十分に摂取し、排便時に強くいきみすぎないように注意しましょう。
また、骨盤底筋トレーニング(いわゆる「ケーゲル体操」)を毎日継続することで、骨盤の支持力を維持し、再発や進行を防ぐ効果が期待されます。
草加西口大腸肛門クリニックでの【直腸脱】の診療

直腸脱は女性に多い病気で、高齢化とともに増加傾向にあります。
直腸が脱出すると日常生活に支障をきたすようになり、生活の質(QOL)が低下します。
痔の脱出と思っていたら実は直腸脱だったということや、子宮脱など他の臓器の脱出(骨盤臓器脱)のこともあります。
直腸脱は癌化することはない良性の病気ですが、生活に支障をきたす場合は治療の対象となります。
当院では診断を行い、手術が必要な場合は専門の施設をご紹介いたします。
症状が気になる方、脱出が頻回になってきた方は、お早めにご相談ください。