直腸瘤
目次
直腸瘤とは

直腸瘤とは、直腸の前壁が膣の方向に突出する状態で、特に出産経験のある女性や閉経後の女性に多く見られます。
骨盤底の筋肉や靱帯が弱くなることが主な原因とされており、排便時の強いいきみが誘因となります。
図の左側は体を横から見た模式図です。
排便時に直腸が前に突出して膣の後壁を押し出し、その結果として、直腸が膣側に膨らみます。
股側から見ると、白っぽい膣の後壁が外側に出ているように見えることもあります。
直腸瘤の原因
主な原因には以下のような要因があります。
- 経膣分娩による骨盤底筋の損傷
- 加齢による支持組織(筋肉や靭帯など)の弱化
- エストロゲンの減少
- 便秘や排便時の強いいきみ
これらの因子が複合的に関与して直腸瘤が生じます。
直腸瘤の症状

直腸瘤の症状は、以下のものがあり、特に排便障害がメインとなります。
- 排便困難
- 残便感
- 過度のいきみ
- 用指排便(指で膣側から押して排便を補助)
- 膣の違和感や膨らみ
- 肛門部の腫れや痛み
日常生活のなかでこれらの症状に当てはまるものがあれば、直腸瘤の可能性があります。
直腸瘤は放置すると症状が進行して、生活の質が低下する可能性がありますので、「直腸瘤かも?」と思ったら、まずはクリニックを受診して相談をしてみてください。
直腸瘤の検査・診断
診断は、問診や視診、直腸診(おしりの診察)、画像診断によって行われます。
おおよその診断は、問診と視診、おしりの診察で可能です。
画像診断は、排便造影(デフェコグラフィー)が代表的です。
デフェコグラフィーは、レントゲン室で、以下の手順で行います。
- 直腸に便に近い硬さに調整したバリウム(擬似便)を入れる
- 専用の台に座り、トイレでいきむように排便してもらう
- 排便の際の直腸の動きや、周囲の筋肉の動きをレントゲン動画で撮影する
実際の検査画像のイメージは下の感じです。

直腸瘤の治療
治療方法は症状の程度により異なります。
軽症なら保存的治療(生活習慣の改善)、重症なら手術を検討します。
保存的治療(第一選択)
保存的治療としては、以下が重要です。
- 食物繊維の摂取
- 水分摂取
- 規則正しい排便習慣の確立
- 適度な運動
- 生活で腹圧をかけすぎない(重いものを持たないなど)
- 肥満の予防
骨盤底筋トレーニング
骨盤底の筋肉を鍛えることで、症状の改善や進行予防が期待できます。
骨盤底筋トレーニングには、以下の2つがあります。
- ケーゲル体操
- バイオフィードバック療法
ケーゲル体操は自分でできる簡単な方法なので、日常生活でコツコツと続けられます。
バイオフィードバック療法は、専門施設でセンサーやモニターを使って、「骨盤底筋を正しくうごかせているか」を確認しながらトレーニングする方法です。
薬による治療
薬物療法は、主に直腸瘤の症状緩和や排便のコントロールを目的として行います。
酸化マグネシウムや、マクロゴール製剤(モビコール)、ラクツロース(ラグノス)などの浸透圧性下剤が使われることが多いです。
手術療法
保存的治療でも症状が改善しない場合には、手術を検討します。
以下の方は、手術適応となります。
- 用指排便を必要とするような排便障害が強い場合
- 他の骨盤臓器脱(直腸脱・膀胱瘤・子宮脱)が併存する場合
手術は主に、経膣的手術、経肛門的手術、腹腔鏡手術に分けられます。
手術治療法の選択は、患者さんごとの症状や生活の質を考慮し、個別に決定していくことが重要です。
直腸瘤の予防
直腸瘤は骨盤底のゆるみや排便時の過度ないきみによって発症しやすくなります。
そのため、日頃から排便習慣や骨盤底筋のケアが大切です。
便秘を防ぐために、食物繊維や水分をしっかりとり、適度な運動を心がけましょう。
排便時はいきみすぎず、スムーズな排便ができるよう整腸剤を活用するのも効果的です。
また、骨盤底筋体操を日常的に行うことで筋力を維持し、予防につながります。
草加西口大腸肛門クリニックでの【直腸瘤】の診療

直腸瘤は女性に多く見られる病気で、進行すると排便が困難になったり、日常生活に支障をきたすことがあります。
当院では、まず丁寧な問診と診察を行い、直腸瘤の可能性があるかどうかを慎重に見極めます。
なお、当院ではデフェコグラフィー(排便造影検査)やバイオフィードバック療法、手術治療は行っておりませんが、精密検査や治療が必要と判断された場合には、連携している専門の医療機関をご紹介しています。
「最近、排便がしにくい」
「膣のあたりに違和感がある」
など、少しでも気になる症状があれば、お一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。