おしりから何かがとび出てくる(脱出する)
目次
おしりから何かが飛び出てくる(脱出する)とは?

「おしりから何かがとび出てくる(脱出する)」という症状は、多くの人にとって驚きや不安を感じてしまうと思います。
肛門から飛び出てくるもので最も多いのは、痔核(いぼ痔)をはじめとする良性の疾患ですが、中には大腸の腫瘍性病変などの可能性もあるため、注意が必要です。
脱出してくるものにより、治療方針も変わってきますので、まずは専門医を受診して脱出しているものが何なのかを正確に診断することが重要です。
おしりから何かがとび出てくる(脱出する)原因となる疾患
おしりから何かが飛び出てくる(脱出する)原因となる疾患として、代表的なものを説明していきます。
痔核(いぼ痔)
肛門の血管が腫れてできる内痔核は、大きくなると排便時に肛門から脱出することがあります。
軽症の場合は自然に戻りますが、悪化すると手で押し込まなければ戻らないようになります。
脱出したままにしておくとうっ血して、痛みが強くなったり出血をするため、指で戻せる場合は指で戻したほうがよく、脱出した内痔核が元に戻ると痛みは改善します。
内痔核自体は癌と違い命に関わらない病気のため、生活に支障がなければ、必ずしも治療が必要となるわけではありません。
しかし、歩いているといぼ痔が脱出して困る、脱出すると痛い、出血をして困るなどと生活に支障をきたしている場合は、治療の対象となります。
いぼ痔の治療はまずは、生活習慣の改善から始まり、軟膏や内服薬などの治療を行い、それらの治療でどうしても症状が改善しない場合に初めて手術を検討します。
「病院を受診したら、いきなり手術を強く勧められる」ということはありませんので、まずはご自身のおしりの状況を知るために、一度クリニックを受診してみてください。
注意:嵌頓(かんとん)痔核という状態は脱出した内痔核がうっ血して腫れてしまい、指で押しても戻らない状態をいい、痛みが非常に強く、出血も伴い生活に支障をきたします。嵌頓痔核は早期の治療が望ましいため、早めに医療機関を受診してください。
直腸脱
直腸脱は、直腸の一部または全体が肛門の外へ飛び出す病気です。
特に高齢者や出産経験の多い女性、慢性的な便秘や排便時に強くいきむ排便習慣の人などに多くみられます。
初期は排便時のみ脱出し、自然に戻ることがありますが、症状が進行すると歩行時などにも脱出するようになり、手で戻さないと戻らなくなります。
さらに悪化すると、脱出したまま自力では戻すことができず、病院を受診する方もいらっしゃいます。
軽度の直腸脱の場合は、それ以上症状を進行させないために、便秘の予防や排便習慣の改善が有用ですが、脱出の程度がひどく生活に支障をきたす場合は、手術が必要となります。
直腸粘膜脱
直腸粘膜脱は、直腸の粘膜が排便時に肛門から脱出する病気で、直腸脱の軽度な段階といえます。
特に慢性的な便秘や排便時の強いいきみが原因となり、排便時に鮮血が付着することがあります。
進行すると、排便後も粘膜が完全に戻らず、肛門に違和感や不快感を生じることがあります。
生活に支障をきたすようになった場合は、手術の適応となります。
肛門ポリープ
肛門ポリープは、肛門から少し中に入った部分にできる良性の腫瘤です。
小さいうちは症状がないことが多いですが、大きくなると排便時に肛門から飛び出してくることがあります。
裂肛に伴ってできるものもあり、裂肛が治りにくい原因にもなります。
放置しても癌になることはありませんが、自然治癒もしないため、脱出が気になる場合や、切れ痔に伴ってできていて、痛みなどの症状が強い場合は手術の適応となります。
大腸ポリープ
大腸ポリープは、大腸の粘膜にできる良性の腫瘍で、特に下部直腸にできると、排便時に肛門から押し出されることがあります。
通常は無症状ですが、大きくなると出血や、肛門からの脱出を引き起こすことがあります。
ポリープには様々な種類がありますが、腺腫というポリープは、放置するとがん化する可能性があるため、注意が必要です。
治療としては、大腸内視鏡を用いたポリープ切除が一般的で、がんを予防するためにも、早めの診断と処置が推奨されます。
おしりから何かがとび出てくる(脱出する)ときはどうしたらいいの?
おしりから何かがとび出てくると、とても驚きますし、不安になりますよね。
「押し戻した方がいいの?」「このまま様子を見ていいのかな?」と迷われる方も多いです。
いぼ痔や軽度の直腸脱、肛門ポリープなどの場合は、指でそっと押すと戻ることもありますが、強い痛みがあるときや、押しても戻らないときは無理をしないでください。
また、血栓性外痔核などの場合は、無理に押すことでかえって悪化することもあります。
無理に触らず、できるだけ早めに肛門診察ができる医療機関を受診しましょう。
痛みがつらいときは、ロキソニン®やカロナール®など市販の痛み止めを飲んでいただいても大丈夫です。
ただし、痛み止めで症状を隠してしまう前に、できるだけ早めに専門医に相談することをおすすめします。
「少しだけだから大丈夫かな」と思わず、気になるときはお気軽にご相談ください。
草加西口大腸肛門クリニックでの【おしりから何かがとび出てくるとき】の診療

「おしりから何かが出てきた…」という症状で、当院を受診される方は多くいらっしゃいます。
いぼ痔(内痔核)をはじめ、直腸脱やポリープなど、見た目では判断がつきにくいケースも少なくありません。
まずは丁寧に問診を行い、いつ・どのような状況で症状が出たのか、痛みや出血の有無などを詳しくお伺いします。
そのうえで、視診・触診・肛門鏡などを用いた診察を行い、脱出しているものが何であるかを判断します。
症状や見た目からポリープや大腸の病変が疑われる場合は、後日、大腸内視鏡検査をご案内することもあります。
「痔だと思っていたら、実は直腸脱だった」「ポリープが出ていた」というケースも少なくなく、脱出の原因によって治療の選択肢は大きく変わります。
いぼ痔や直腸脱、肛門ポリープは基本的に良性疾患ですが、大腸ポリープの中にはがん化するタイプもあるため、早期の診断が大切です。
当院では、患者さんの不安に寄り添いながら、必要に応じて本院(西新井大腸肛門科)への連携や手術のご案内も含め、最適な治療を提案しています。
「これくらい大丈夫かな…」と我慢せず、おしりから何かが脱出する症状がある場合は、お早めにご相談ください。
おしりの症状が何によるものかをしっかり見極め、安心して過ごせる毎日を取り戻せるようサポートいたします。