おしりが腫れている
目次
おしりがはれ(腫れ)ているとは?

「おしりがはれている」、「押すと痛い」、「なんとなく違和感がある」、そんな症状はありませんか?
原因として多いのは痔や膿瘍(うみのたまり)などです。
原因によっては自然にはれがおさまるものもありすが、肛門の周囲に膿がたまる肛門周囲膿瘍は放っておくと悪化し、高熱や激しい痛みを引き起こすこともあります。
また、膿のたまりが大きいと外来での処置が難しく、入院して処置が必要になるケースもありますので注意が必要です。
おしりが腫れる原因となる疾患
おしりの腫れは、多くの人が経験する症状のひとつですが、その原因は様々です。
経過をみていれば自然に改善するものから重症なものまであり、正しい診断をして治療を行うことが重要です。
血栓性外痔核

肛門周囲や肛門のふちに血栓(血の塊)ができ、急激な腫れと強い痛みを引き起こします。
便秘や長時間の座位、重いものを持ち上げる動作など、何らかのおしりへの負担が原因となることが多く、突然はれるのが特徴です。
触れると硬く感じることがあり、触った時や排便時の痛みが強くでます。
一時的な腫れのため、放置しても時間がたつと軽快していきますが、痛みをともなうため、軟膏や内服薬で治療をしたほうが早く良くなります。
また、温めると痛みが改善するため、お風呂などで温まることも効果的です。
血栓をおおっている皮膚が破けると出血をすることがあります。
痔瘻・肛門周囲膿瘍

細菌感染によって肛門周囲に炎症が起こり、膿瘍(膿(うみ)のたまり)をつくり、腫れと強い痛みを伴います。
膿のたまりが大きい場合は、38℃以上の高熱になることもあります。
膿瘍が破れると膿が出て一時的に痛みがやわらぎますが、自然に膿が出ない場合は、膿や炎症が周囲に広がるのを防ぐために、病院で膿瘍を切開して膿を出す処置が必要となります。
肛門周囲の膿瘍の原因に痔瘻(膿の通り道ができる病気)がある場合には、肛門周囲膿瘍を繰り返す場合があります。
痔瘻は軟膏や内服薬では治らないため、根治のためには手術が必要となります。
肛門周囲皮膚炎
肛門周囲の皮膚がかぶれて炎症を起こすことで、腫れやかゆみ、痛みが生じます。
原因は、排便のあとのおしりの拭きすぎ、下着の摩擦、湿気、アレルギー反応、カンジダ感染などさまざまです。
症状が軽度であれば、適切な清潔管理や保湿、刺激の少ない衣類の着用で改善しますが、炎症がひどい場合はステロイド軟膏や抗真菌薬などの治療が必要です。
カンジダ感染が原因の場合は、ステロイドを使うことで症状が悪化しますので注意が必要です。
症状が長引く場合は、肛門科や皮膚科で診察を受けることをおすすめします。
肛門ヘルペス
単純ヘルペスウイルス(HSV)による感染症で、小さな水疱やただれ、痛みを伴う腫れが特徴です。
性感染症の一種であり、初感染時は強い痛みや発熱、倦怠感を伴うことがあります。
症状は自然に軽快することもありますが、抗ウイルス薬を使用することで回復が早まります。
再発しやすい病気なので、免疫力の低下を防ぐことが予防につながります。
疑わしい症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
クローン病
クローン病は口から肛門までの全消化管に炎症をひき起こす原因不明の疾患で、国から難病に指定されています。
10代〜20代の若年者に多く、慢性的な下痢や腹痛を伴います。
クローン病の場合、肛門周囲膿瘍や痔瘻を合併することもあり、おしりの腫れとして自覚することがあります。
おしりが腫れたときにはどうしたらいいの?
おしりが腫れると、とても不安になりますよね。
「少し様子を見たら治るかも」と思いたくなるかもしれませんが、腫れの原因によっては早めの対応が必要なこともあります。
血栓性外痔核のように自然に落ち着くこともありますが、肛門周囲膿瘍のように膿がたまる病気の場合、放置すると炎症が広がり、強い痛みや発熱を引き起こすこともあります。
ときには、入院して処置が必要になることもあるため、注意が必要です。
特に、おしりの腫れと一緒に強い痛みや熱がある場合は、できるだけ早く肛門診察ができる医療機関を受診しましょう。
「こんなことで受診してもいいのかな…」と遠慮せず、気になる症状があれば早めに相談してくださいね。
早めの受診が、つらい症状を軽くする近道になります。
草加西口大腸肛門クリニックでの
【おしりが腫れているとき】の診療
当院には「おしりが腫れてきた」「痛みがあってつらい」といった症状で来院される方が多くいらっしゃいます。
まずは丁寧にお話を伺い、いつから、どのような腫れがあるのかを確認します。
そのうえで、視診や直腸診、肛門鏡や肛門エコーなどを用いて、実際の腫れの状態や原因を詳しく調べていきます。
おしりの腫れの原因として最も多いのは血栓性外痔核ですが、似たような症状を呈する肛門周囲膿瘍との見極めが必要なケースもあります。
肛門周囲膿瘍の場合は、自然に治ることは少なく、膿を出す処置(切開排膿)が必要になることもあるため、早めの対応が重要です。
また、皮膚のかぶれや湿疹、感染症(ヘルペスなど)によって腫れが出ている場合もあります。
こうした場合には、原因に応じた外用薬や内服薬での治療を行います。
適切な処置を行わずに放置してしまうと、炎症が悪化したり、まれに周囲へ感染が広がるおそれもあります。
「いぼ痔が腫れたのかな」と思って様子を見ていたら、実は膿瘍だったというケースも珍しくありません。
原因を見極めたうえで、必要に応じて治療や経過観察を行います。
おしりの腫れでお困りの方は、ひとりで悩まず、どうぞお気軽に当院へご相談ください。
初めての方でも安心して受診いただけるよう、わかりやすく丁寧な診療を心がけています。