おしりから膿(うみ)が出る
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おしりから膿(うみ)が出るとは?

「おしりから膿のようなものが出てきた…」そんな症状に驚き、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
膿が出る原因の多くは「肛門周囲膿瘍(のうよう)」や「痔瘻(じろう)」と呼ばれる良性の病気です。
しかし、中には大腸がんなど命に関わる病気が原因の可能性や、潰瘍性大腸炎やクローン病などの腸に炎症を起こす病気が原因の可能性もあり注意が必要です。
おしりから膿が出る原因となる疾患
おしりから膿が出る原因となる病気はいくつかありますが、ここでは代表的なものを説明していきます。
痔瘻・肛門周囲膿瘍

肛門周囲膿瘍は、肛門周辺に炎症がおこり膿がたまる細菌感染症です。
強い痛みや腫れを伴い、発熱することもあります。
放置すると皮膚が破けて膿が自然に排出されることがあり、膿が出ると痛みが改善していきます。
痔瘻は肛門内と皮膚の間に瘻管(ろうかん)というトンネルできることで、慢性的に皮膚の穴から膿が出続ける状態になります。
痔瘻は自然治癒や薬では治らないため、根治のためには手術が必要です。
また、複雑な痔瘻を長期間放置すると痔瘻がんになる可能性があるため、慢性的に膿が出続けている場合は、早めに医療機関を受診してください。
肛門周囲皮膚炎・肛門周囲湿疹

肛門の皮膚が炎症を起こし、皮膚荒れがおこり、膿が出ることがあります。
原因としては、下痢による刺激、拭きすぎによる物理的な刺激、アレルギー反応などが挙げられます。
軽症であれば、新たな刺激を回避することで自然に改善しますが、なかなか治らない場合は、肛門科や皮膚科の受診が必要です。
また、カンジダが原因で治らない場合には、通常の軟膏などでは改善せず、抗真菌薬での治療が必要となります。
ヘルペス感染症
単純ヘルペスウイルス(HSV)が原因で肛門周囲に水疱ができ、破れると膿が出ることがあります。
性感染症として感染することが多く、強い痛みやかゆみを伴うことが特徴です。
再発しやすく、ストレスや免疫低下時に症状が悪化することがあります。
抗ウイルス薬での治療が有効で、早期に受診することが重要です。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる原因不明の疾患で、国から難病にも指定されています。
20歳〜30歳に多いのですが、全年齢で発症する可能性があります。
大腸の炎症がひどい場合には、炎症をおこした腸の粘膜から膿が出ることがあり、それが肛門から出てくることもあります。
おしりから膿が出るだけでなく、下痢や出血や腹痛なども伴う場合は、潰瘍性大腸炎の可能性もありますので、早めに病院を受診してください。
クローン病
クローン病は口から肛門までの全消化管に炎症をひき起こす原因不明の疾患で、国から難病に指定されています。
10代〜20代の若年者に多く、慢性的な下痢や腹痛を伴います。
クローン病の場合、肛門周囲膿瘍や痔瘻を合併することもあります。
大腸癌(直腸がん)

直腸がんが進行すると、腫瘍が潰瘍化して膿が出ることがあります。
特に、血便や便秘・下痢の交互発生、体重減少などの症状を伴う場合は直腸がんが原因でおしりから膿が出ている可能性がありますので、早めに病院を受診してください。
おしりから膿が出る時にはどうしたらいいの?
おしりから膿が出ると、不安になったり、どうしたらいいか迷ってしまうと思います。
膿が出る原因は、痔瘻(じろう)や肛門周囲膿瘍などの肛門の病気が多いですが、皮膚の炎症や、まれに大腸の病気が隠れていることもあります。
「痛みがないから大丈夫かな」「少し様子を見ようかな」と思ってしまうかもしれませんが、自己判断で放置するのは危険です。
症状が軽くても、早めに肛門診察ができる医療機関を受診することがとても大切です。
心配な症状があるときは、お一人で抱え込まず、まずはご相談ください。
早期に正しい診断を受けることが安心につながります。
草加西口大腸肛門クリニックでの
【おしりから膿が出るとき】の診療

当院には「おしりから膿のようなものが出る」との症状でご来院される方が多くいらっしゃいます。
このような症状の原因としては、肛門周囲膿瘍や痔瘻といった肛門の病気が多いですが、皮膚の炎症、感染症、大腸の炎症性疾患やがんなど、さまざまな可能性が考えられます。
診療では、まず丁寧に問診を行い、症状の経過や膿の状態、痛みの有無などをお伺いします。
その後、視診、直腸診や肛門鏡を用いた診察、必要に応じて肛門エコーによる検査を行います。
皮膚の炎症などが原因であれば、外用薬やスキンケアで改善することが多いですが、痔瘻や膿瘍などが原因の場合は、抗生物質や切開処置、あるいは手術による根治治療が必要となることもあります。
また、大腸の病気が疑われる場合には、大腸内視鏡検査をご案内することもあります。
膿が自然に出て症状が軽くなったとしても、「痔瘻」が残っているケースでは、再発を繰り返すことがあります。
膿が続く、同じ場所から繰り返し出るといった症状がある方は、早めの診察が大切です。
「おしりから膿が出るけど恥ずかしくて相談しづらい…」と思われるかもしれませんが、当院では安心して診察を受けていただけるよう心がけております。
つらい症状をお一人で我慢せず、気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。