おしりがかゆい
目次
おしりがかゆいとは?

「おしりがかゆい」、「ムズムズして落ち着かない」、「ついかいてしまう」、そんな経験はありませんか?
実は、おしりのかゆみは単なる皮膚のトラブルではなく、痔や湿疹、真菌(カビ)感染、肛門周囲の衛生状態など、さまざまな原因が隠れていることがあります。
かゆみが続いたり、寝ている間に無意識にかきむしってしまうような場合など、生活に支障をきたしている場合は、放置せずに受診を検討しましょう。
デリケートな症状だからこそ、原因を明らかにし、正しく対処することが大切です。
おしりがかゆい原因となる疾患
おしりのかゆみの原因となる病気はさまざまで、一時的な皮膚炎などでは自然に改善することもありますが、かゆみが継続する場合には、治療が必要になることもあります。
痔
肛門周囲皮膚炎・肛門周囲湿疹

肛門周囲皮膚炎は、肛門周囲の皮膚が炎症を起こすことで発生します。
原因としては、汗や排便後の拭き残し、洗いすぎによる皮膚のバリア機能の低下、細菌感染などが考えられます。
かゆみだけでなく、赤みや軽い痛みを伴うこともあります。
新たな刺激を避け、清潔に保つことで、自然に症状が改善することもありますが、かゆみが継続して、生活に支障をきたす場合は治療が必要となります。
カンジダ症(真菌感染症)
カンジダ症は、カンジダというカビ(真菌)が原因となる感染症で、肛門周囲のかゆみを引き起こします。
特に湿気の多い環境で増殖しやすく、下着の蒸れや長時間の座位が影響します。
かゆみのほか、皮膚の赤みや白いカスのようなものが見られることがあります。
診断には培養検査を行い、専用の抗真菌薬で治療するのが一般的です。
接触性皮膚炎
接触性皮膚炎は、刺激物に触れることで皮膚が炎症を起こし、かゆみが生じる疾患です。
トイレットペーパーの香料や漂白剤、ボディソープ、衣類の洗剤、下着の素材などが原因になることがあります。
原因物質の特定が重要であり、避けることで症状が改善します。
症状がひどい場合は、抗アレルギー薬の内服や、ステロイド外用薬が有効です。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎を持つ人は、皮膚のバリア機能が低下しており、肛門周囲の皮膚も乾燥しやすく、かゆみを引き起こします。
特に冬場やストレスがかかったときに悪化しやすく、掻くことで炎症が広がることがあります。
保湿を徹底し、炎症が強い場合は皮膚科医の指導のもと、ステロイドや抗炎症薬を使用します。
寄生虫感染(ギョウ虫症)
寄生虫感染の中でもギョウ虫症は、肛門周囲の強いかゆみを伴います。
特に夜間にかゆみが増すのが特徴で、小児に多く見られますが、大人にも感染することがあります。
蟯虫は肛門周囲に卵を産み付けるため、それが刺激となりかゆみを引き起こします。
ギョウ虫検査と適切な駆虫薬による治療が必要です。
おしりがかゆいときにはどうしたらいいの?
清潔を保つ
毎日シャワーやお風呂で肛門周囲を清潔に保ちましょう。
ただし、お風呂用のタオルなどでゴシゴシ洗いすぎると皮膚が傷つくため、手でやさしく洗うことが大切です。
保湿をする
乾燥が原因でかゆみが出る場合は、保湿剤を使用すると効果的です。
通気性の良い下着を選ぶ
化学繊維の下着ではなく、綿素材の通気性が良いものを選ぶと、蒸れを防ぐことができます。
かゆみ止めを使用する
市販のかゆみ止め軟膏や抗炎症クリームを塗ることで、症状を和らげることができます。
ただし、カンジダ感染が原因の場合はステロイドの使用により症状が悪化することがあり、注意が必要です。
症状が続く場合は医師に相談
数日経っても改善しない場合や、市販薬でも改善しない場合、かゆみに加えて痛みや出血や腫れがある場合は、早めに病院を受診してください。
草加西口大腸肛門クリニックでの『おしりがかゆいとき』の診療

当院には「おしりがかゆい」というお悩みでご来院される方が多くいらっしゃいます。
まずは、問診にてかゆみの範囲や強さ、いつから症状があるのか、どのような場面で悪化するかなどを丁寧におうかがいします。
その後、肛門の視診や触診、直腸診や肛門鏡をつかった診察を行い、皮膚やおしりの状態を確認します。
かゆみの原因が皮膚炎や湿疹であれば、ステロイド入りの軟膏などの外用薬を使った治療で改善が期待できます。
かゆみの原因がカンジダなどの真菌感染によるものであれば、培養検査を行ったうえで、専用の抗真菌薬による治療をご案内します。
また、女性の場合には膣カンジダなどの感染症を合併していることもあり、必要に応じて婦人科の受診をご提案することもあります。
さらに、皮膚疾患が疑われる場合には、当院での初期対応のうえで、皮膚科との連携を行い、専門的な診療へとつなげています。
おしりのかゆみはデリケートな悩みですが、原因を適切に見極め、正しい治療を行えば改善が可能です。
つらいかゆみをお一人で我慢せず、どうぞお気軽にご相談ください。